安全の為のルールはめんどくさいから守られない

製造業や、建設業は、労災を防ぐために、安全のためのルールが作られているかと思います。

うちの会社だと、「サンダーを使う作業時は、保護メガネをつける」というものなどがあります。

ルールはあるのですが、作業効率等を優先し、ルールを守らない方がいることは事実で、1〜2年に一回程度は労災事故が起きてしまいます。

先日、ボタン式の自動シャッターで事故がありました。

台車で部品を運んで、自動シャッターのボタンを押して開けるのですが、シャッターの前がスロープ状になっており、シャッターのボタンを押す際、台車が坂を下り始めました。

慌てて台車を足で抑えたところ、台車から部品が落ち、足を挟む事故となりました。

労災となり、再発防止委員会が招集されました。協議の結果、再発防止として、

「ボタンを押す際は台車はスロープの下に置く」

というルールが決まりました。

やり方としては、

・スロープの下に台車を置く

・スロープをのぼり、ボタンを押す。

・スロープを降り、台車に戻る

・シャッターが空いている間に台車を押して入れる。

(閉じるのは自動)

守られるかどうか分からないルールだと思います。

再発防止としての効果はどれくらいあるのでしょうか?

次、同様の事故が起きた場合は、”ルールが守られなかった為”となるのでしょうか?

安全のためとはいえ、このやり方はとてもめんどくさいと思います。

手間がかかり、効率的でない為、実行すると時間の無駄が発生してしまう事は明らかです。

私はこのような人に手間をかけさせすぎるルールは守られなくなるため、ムダになると思います。

事故は、二つの要素が不良の場合に発生します。

・安全状態

・安全行動

二つがそれぞれ「不安全状態」「不安全行動」となった場合に事故となるのです。

「安全行動」というものは、制御するのに、個人のモラルによるところがあります。

いくらルールを定めても、目の前の納期に追われてしまうと、つい安全性より効率を重視してしまう心境になりがちです。

いわば、安全管理に限界があると言えます。

通常の生産状態では問題がなくても、過密な納期で残業がかさむ状態が発生した時、つい楽な方法を取ってしまうものなのです。

それが危険な行動と解っていても、納期遅延と天秤にかけた場合、やはり効率に傾いてしまうことは想像に難くありません。

それを防ぐためには、完全な生産管理を敷き、作業者の納期に対する責任を全くのゼロにするしかありません。

それは、完全な安全体制を整えること以上に難しい事だと思います。

「安全状態」は、成立させるためにコストがかかる場合が多いです。

スロープを意図せず下ってしまう状態なのであれば、段差がない状態にしてしまえば危険はなくなりますし、ボタン付近に台車を固定できる装置を設置する事が出来れば、台車の危険はなくなりますが、大きなコストとなります。

ですが、物理的に解消できれば、労働災害の撲滅に大きな効果が期待できます。

思い切って台車をやめてしまい、ベルトコンベアーで部品を運ぶようにすればこの事故は撲滅できます。

コストと効果のバランスを取り、決定しなくてはいけません。

労働災害が起きた際、個人の「安全行動」のみを律する事はあっても、「安全状態」が問題視される事は少ないように思います。

自分の行動によって納期遅れが発生する事を恐れるあまり、危険行動をとってしまう事はよくある事で、それを防ぐためには完全に納期の責任から作業者を解放するしかありません。

安全のためのルールは、作業者の為を思って作られるものです。

そこに疑いはありません。

ですが、ルールがあまりにも効率を度外視していた場合、最初のうち、平時のうちは守られていても、時が経つにつれ、業務負荷が上がるにつれ守られなくなっていくものです。

安全に関する問題が発生し、新たなルールが必要となったとき、作業手順を変えなければいけない時、是非ともその時点で効率化を念頭に置いた投資をして頂きたいと思います。

よそ向きの体裁だけを考えたルールに意味はありません。安全のために効率と安全性を高い次元で叶えるシステムを作って頂きたいものです。

追記

富田林署にて、接見室のブザーの電池が抜かれていて、容疑者が逃走する事件が発生しました。

本来の機能より、その場の不愉快さの解消を優先した結果です。

必要な安全装置でさえ、「めんどくささ」や「不愉快さ」に抗えず、機能を排してしまう場合があるのです。

現場の安全を考える管理者は、これを対岸の火事とせず、安全性の追求をしていかなければなりません。

めんどくさい、不愉快なシステム・ルールは飾りとなるのです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする