労働基準法を知らない管理職はリスク

広告代理店の過労自殺の事件をきっかけに、社員のライフワークバランスや、労働基準法に対して注目が集まるようになりました。

各企業は、あわてて労働時間について調べていることでしょう。

昔は、労働基準法なんてことを口にした社員は、反社会的な犯罪者のような扱いを会社の中で受けたものですが、最近はそんな例も減ってきているのではないでしょうか。

しかし、いかんせん管理職の中には

「労働基準法は”法”なので、自分たちは関係なく、労務部が管理していくもの」

と考えている人もいるようで、対応を人事・総務に丸投げしようとしてきます。

いろいろな業務にまつわる勉強を疎かにすると叱責をするのですが、労働基準法について勉強していない自分にはとたんに甘くなります。

私の会社では、36協定の特別条項の年間時間外労働の時間を少なめにしていました。

平成の不況、リーマンショック等の時期に、仕事そのものが減り、残業時間も大きく減ったため、520時間だの、480時間だので、協定を結んでも、多い人でもその半分も消化しない時期が長くありました。

そのため、特別条項の上限時間はどんどん縮小されていきました。

今管理職となっている人は、この経営上苦しい時期の記憶を強く持っているようでした。

しかし、景気の悪い時期というのも、いつかは終わりが来ます。

景気が良くなってくると、仕事はどんどん増え、残業時間も増えてきました。

そこですぐ人員を増やせればいいのですが、不経済だった時期を経験すると、その決断がすぐにできません。

人を増やす事による人件費の増加を嫌がり、決断が出来ないのです。

しかも、仕事が少なかった時期には一つひとつの仕事に対して時間がありますから、クオリティを重視して、業務スピードは二の次となっていたため、残業時間がかさむ結果となったのです。

結果、残業時間は36協定の特別条項に引っかかるレベルになっていくのですが、管理職は、どのような36協定、特別条項を締結しているか知りません。

どのような手続きで特別条項を当てはめるかも知りません。

人事部が許可を出すものと思っています。

人事部が勝手にやることと思っている人もおり、ひどくなると人事部を「業務の邪魔をする人たち」のレッテルを貼ろうとするのです。

会社業務的には”会社の誰かがやればよい”仕事なのですが、業務負荷や各員の業務習熟度や資格、技能等を加味し、生産効率を考え残業負荷を調整することが必要なこの業務を、部署の管理職以外に出来る人はいるのでしょうか?

過去、この特別条項の年間残業時間上限に引っかかる人が出てきてしまった時、その部署の部長が人事部に「どうにかならないか?」と頭を下げに来たことがありました。

どうもこうも人事でどうにか出来る問題でも、する問題でもありません。

私自身、残業の確認を行っている業務の傍ら、上限を超えそうな人を見つける事がありますので、その方の上司に注意を促しに行ったりするのですが、決まって、

「じゃあ誰が仕事するの?」

「納期遅れたら責任とってくれるの?」

「間接部門は暇だから他部署に口出すんだよね」

などと私を悪者にした文句を言ってきます。

どうせ万が一残業過多で裁判などと言う事になっても、その上司は他人事だと思っているんでしょうけど。

管理職になるという事は、人を使う立場になるという事です。

人を使う立場になるという事は、「労働基準法」が身近な物になるという事です。

たとえ管理職の人が独断で法を犯す行為を行ったとしても、責任を負わされるのは会社になります。

金銭的な損失だけならまだよい方で、社会的な信用を失う事になるかもしれないのが、現在の「労働基準法」なのです。

管理職の不勉強は、会社のリスクとなるわけです。

管理職の方は、労働基準法を勉強する必要があります。

運転する人が免許を取る必要があるのと同じことです。

個人の仕事を管理するという事は、上にも書いたように、先の業務負荷や生産計画、個人の力量などを加味して計画的に残業時間をやりくりしていくものです。

そしてその上に法律がある以上、その法律を理解しなければなりません。

管理職の方は、他人任せには出来ないのです。

是非とも管理職になる方は、労働基準法を学ぶべきです。勉強しない管理職は怠惰な人です。その存在自体がリスクなのです。

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