ヒヤリ・ハットは宝である

ハインリッヒの法則という法則をご存知でしょうか。

これは、損害保険会社に勤めていた「ハーバード・ウイリアム・ハインリッヒ」という方が、統計学的に導き出した法則で、労災事故を防ぐための考え方の一つとして扱われています。

私が大学時代にならっていた「失敗学」では、一番最初の授業で習いました。

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則とは「1件の重大事故の背景には、29件の軽微な事故が存在し、その裏には300件のヒヤリ・ハットがある」というものです。

1929年の論文の中で発表されました。

また、1931年に発行された書物は、「災害防止のバイブル」と高く評価され、NASAをはじめ、多くの著作物に引用され、ハインリッヒは「災害防止の祖父」と呼ばれるようになりました。

外部リング:ハインリッヒの法則(ウィキペディア)

法則はこの後、「その裏には、幾千もの不安全行動と、不安全状態が存在する」と続きます。

ヒヤリ・ハット

ヒヤリ・ハットとは、業務行為その他において、問題に事前に気が付く、または怪我・物損等が発生せず、ヒヤリとしたりハッとする行為・体験の事です。

外部リング:ヒヤリハット(ウィキペディア)

大学時代、私は旋盤を使う授業の中で、旋盤に削るものを固定する「チャック」作業をして、その固定道具を付けたまま旋盤を回してしまう、いわゆる「チャック飛ばし」をしたことがあります。

腰に固定道具が当たりましたが、大事には至らず、痛みも無かった為、教員に報告する事もありませんでしたが、あの行為はまさにヒヤリ・ハットと呼ばれるもので、重大事故の一歩手前な状態でした。

会社の先輩は学生時代、同じように「チャック飛ばし」をして、旋盤の主軸を曲げて使い物にならなくしてしまったそうです。

それだけ危険な行為だったことに、後になって肝を冷やしたのでした。

他にも、わき見運転をしていて、同乗者に歩行者の存在を指摘され急ブレーキで難を逃れたり、包丁を使う作業で、力を入れていて手が滑ったが、けがには至らなかったなど、日常生活はヒヤリ・ハットにあふれています。

ヒヤリ・ハットを共有する

重大な災害の裏には、その300倍のヒヤリ・ハットが隠れており、それを防ぐことが労働災害を防ぐことに繋がります。

最近の建築業・製造業の現場では、朝礼時に危険予知活動(KY活動)と称して身の回りに起こりうるヒヤリ・ハットを発表しあい、意識を高める活動が行われています。

安全のために、費用を投じて設備を整える場合も有るでしょう。

しかし、安全のためとはいえ全ての危険に費用を投じて安全性を確保するのも、企業にとっては限界があります。

業界によっては、危険を承知で業務に従事しなければならない場合もあります。

事故防止を現場だけでなく組織的に行う為に「ヒヤリ・ハット」を報告させて統計をとり、危険性の高い作業や場所に対して費用をかけて対策を講じる活動もあるようです。

ヒヤリ・ハットで事故を防ぐ

事故は身近なもので、起こしたいと願いながら起きるものではありません。

もしかしたら、明日、あなたの身に起こるかもしれませんし、私の身に起こるかもしれないのです。

それを防ぐ手法の一つが、ヒヤリ・ハットの撲滅です。

事故にならずに、危険性を認識するに至ったその経験は、未来の事故を防ぐための原石です。

私の「チャック飛ばし」も教員に報告し、その場では叱られながら他の学生全員に問題の共有を図ることができれば、この先、未来の重大事故を防げたかもしれません。

ヒヤリ・ハットの公開は、場合によっては勇気のいる事です。

損害がなければ報告する必要はないと考えてしましますし、危険な行為をしたことをわざわざ報告し、怒られたくはないと誰しもが思います。

しかし、その後重大災害が起こった時に、「私も昔あんなことやったな」という思い出話にしてしまうのは、あまりに「もったいない」ことなのです。

あなたの行為で未来の事故を防ごう

あなたは今日、ヒヤリとしましたか?ハッとしましたか?

その経験は、未来において、あなたの後輩が経験してしまう事かもしれません。

それは結果として重大事故に発展してしまうことになるかも・・・。

未来の事故を防げるのは、あなたのその経験です。

ヒヤリ・ハットを共有し、事故の無い職場を、みんなで作っていきましょう。

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