「めんどくさい」を認める

同じ会社であっても、部署によって考え方や文化が違うものです。

私の場合は、設計部から開発部、そして間接部門と、少ないですが部署を異動して今に至りますが、考え方の違いに戸惑う事も多かったです。

部署の文化

文化の違いはいろいろありましたが、私が一番衝撃を受けたのは「めんどくさい」でした。

設計部にいたころは、とにかく「言われた仕事はやれ」という感じで、仕事に関して文句を言う事は許されませんでした。

うっかり「めんどくさい」などと口から出てしまうものなら「人間として間違っている」と強く叱責されたものです。

客先の部署13か所に配布するため、7種類の書類を各13部コピーしてホチキス止めしなければいけない時に、つい「めんどくさいですね」と言ってしまったら、時の上司から「仕事に対して何文句言っているんだ」と、小一時間説教を貰う事になりました。

間接部門に異動してきても、設計部にいたころの記憶が色濃く残っていたのですが、来てみるとその文化の違いにびっくりしたものです。

後輩の女の子が、上司から仕事を教わっているときに「これ、めんどくさいですね」と、普通に会話をしているのです。

私は「この子は何を言っているんだ」と思ったのですが、上司から出た次の言葉は「じゃあ、どうやって変えてこっか?」でした。

「めんどくさい」は禁句?

今いる間接部門では、「めんどくさい」は禁句ではありません。

それは業務の効率化を考える為の合図のような言葉で、ネガティブに聞こえるこの言葉を前向きに使っていたのでした。

それ以降も、今やっている仕事に関しても、新しくできた仕事に関しても、「こうやるとめんどくさいけど、ミスは減る」「これはめんどくさくなってしまいませんか?」「めんどくさいけど、このやり方でやろう」など”めんどくさい”が日常的に出てくる部署でした。

現在やっている仕事の効率が悪い、時間がかかるなど、業務個々に問題を抱える事はよくある事です。

そこで「めんどくさい」という感情が生まれる事は当然の事なのですが、設計部ではそれを悪ととらえ、弾圧してきました。

結果、効率の悪い仕事に問題提起する人はほとんどいませんでした。

言われた通りやれば、怒られることはありません。

間接部門では、この「めんどくさい」をきっかけにして効率化への議論が始まることがとても多かったです。

配属されて3年が経とうとしていますが、配属当時と同じやり方を続けている業務はほとんどないくらいに、日々業務を細かく改善しているのです。

認めることから始まる

効率の悪い業務というものは、本来であれば存在してはいけません。

管理職、従業員ともに、業務効率を高める努力をするべきなのは言うまでもない事です。

しかし、その「効率の悪い業務はあってはならない」という部分だけが独り歩きしてしまい、今やっている業務の効率の悪さから目を逸らし、それを認めないような思考が、設計部の中では蔓延していたように感じます。

悪い部分を認め、改善していくことは大切ですが、時に痛みを伴います。

いじめは悪い事なので、存在自体を認めない、否定する事で発生していないと錯覚する事が出来ます。

しかし、本質的には確かにそこに存在するもので、問題が大きくなってから表面化せざるを得なくなり、結果信用を失う事になったりするものです。

上司に批判は悪い事です。

しかし、批判をすることが悪いことと弾圧していけばその上司の短所がなくなるわけではありません。

必要な事は、悪い現状を認め、改善するための議論を始める事であり、悪い現状を認めない事に一分の理も無いわけです。

それには、現状を受け入れる事のできる「理解のある」上司・経営トップが必要なわけですが、それ以上に「改善を進める為に現状を受け入れる覚悟」が各個人に必要なのです。

聖域を作らない

「臭い物に蓋」をしても、社会に出てしまえば、片付けてくれるお母さんはもういません。

蓋をしたままでそこに存在し続けるのです。

現状から目を逸らさずに、蓋をあけて片付ける為には「臭い物」を手に取ることから始まるのです。

「めんどくさい」

この簡単な一言だけですが、改善が進む部署と停滞する部署の違いが判ったような気がします。

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